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松下中央執行委員長あいさつ

 中央本部執行委員長の松下です。第8回定期大会に参加された代議員、傍聴者の皆さん大変お疲れ様です。また、大変お忙しいなか来賓として、森田衆議院議員、腰塚熊谷市議会議員、こくみん共済coop群馬推進本部高崎エリア推進課の岩丸課長、JRひがし労OB会の山本会長にお越しいただきました。中央本部執行委員会を代表して心より御礼申し上げます。

 ひがし労は、第7回定期大会以降『抵抗とヒューマニズム』を基底に、大軍拡と改憲策動、産業構造・事業構造の大転換に立ち向かい、組織拡大に全力を傾注し、横断的労働組合の創造に邁進してきました。今定期大会では、1年間の闘いを総括し、統一地方選挙で指し示した組織力をバネに、向こう5年間の組織展望を切り拓いていきます。

「横断的労働組合の創造を掲げ、
                               組織の強化・拡大をかち取る」闘い

 JRひがし労は、2020年9月の第5回臨時大会において、企業内の枠を超えて、誰でも加入できる組織へとしてきました。日本の労働運動史上、組織を拡大し続けた労働組合はありません。企業内労働組合や一般ユニオンなどは、退職や労働問題が解決すれば同時に脱退していきます。ひがし労の組織が確実に前進したことは、「企業内労働組合限界か」の朝日新聞記事に示されるように、企業内労働組合の枠を超えてきたことで、私たちの進むべき道の正しさが証明されました。日本が大軍拡と改憲、ファシズム支配体制へ突き進み、産業・事業構造が転換し、デジタル化や脱炭素化へと突き進んでいます。そのただなかで、主客の情勢を認識し、オルグ力と組織的力量を発揮し、少子高齢化で困窮している労働者や市民に手を差し伸べ、反撃していくことが問われています。組合員をつくり、みんなで助け合っていく「共助」と、よく気がつき巧みに物事をこなす知的能力「才気」をもって、JRひがし労運動を邁進していきます!

 組織強化・拡大の取り組みは、企業内労働組合の限界性を捉え、困窮する労働者や支援を望む市民、社会問題を解決することを望む市民、ひがし労運動に支援・協力する労働者・市民へ加入を呼びかけてきました。困っている人や苦しんでいる人へ手を差し伸べ、生活環境改善のために組合員が協力して助け合う運動を展開し、共鳴した市民が加入をしてきました。

 組合員は、毎月の刊行物を受け取り、草刈りや廃品回収など生活サポートへの依頼、ウクライナ難民へのカイロ支援、トルコ・シリア大地震被災者支援カンパ、統一地方選挙に協力してきました。また、沖縄平和研修や足尾研修、朝河貫一研修などに参加してきました。さらには、休耕地を提供し、「ひがし労農業」に協力してきました。また、「企業による労働者への『安全配慮義務』の厳格化を求める要望書」を担ってきました。これらを通じて、ひがし労への帰属意識を高めてきました。

 生活サポート活動は、6月に入り要請数が30件以上で要請人数も180名を超えています。これから、草刈りのシーズンを迎え、ますます生活サポート活動の手を必要としている人たちがいます。少子高齢化で困窮している高齢者が増え続けています。年金生活では病院に行くタクシー代の捻出がままならない人々がいます。そのようななか、依頼した組合員からは「生活サポートはすばらしい運動だ」「高齢化社会の対応は行政だけでは賄えない」などの意見が出されました。生活サポート活動を担った組合員からも「他の組織では出来ないことをやるのがひがし労だ」などの意見が出されています。

また、「ひがし労農業」は、個人加入組合員から休耕地の活動を依頼されて始まりました。その一方で、私たちの賃金は上がらず、物価や燃料費も高騰するなか、生活費は厳しい状況になっています。組合員からは「コロナ禍で約180万円もの賃金が引き下げられ苦しい」「貯金を切り崩している」など切実な声が出されています。そのようななかで、組合員と共に農作物を育て、収穫した野菜を1人暮らしの組合員などに配布していきます。

 本部は、6月4日にJRひがし労組合員議員懇談会を開催し、県議会議員ならびに市議会議員の6名に参加していただきました。参加した本郷群馬県議会議員は「交通弱者に光を与える提案を訴える。強いものが強い社会を終わらせる」、腰塚熊谷市議会議員は「高齢者に関する地域課題を共有する」、などの意見をいただきました。そして、参加した県議ならびに市議からは、誰もが加入できることに共感していただきました。その後、後藤県議からは生活サポート活動を必要とする市民を紹介していただきました。

 本部は、「組織拡大強化期間」を継続して、生活サポート活動を通じた生活環境の改善を図り、更なる組織を目指します。そのことを通じて、大軍拡と改憲に立ち向かう横断的労働組合を創造していきます。また、「平和・人権・環境・民主主義」を掲げる議員との連携を通じて、政治・経済や地域における諸課題の解決を目指して、ひがし労議員協議会を確立していきます。

「平和・人権・環境・民主主義」を守るため、憲法改悪反対!

    軍事大国化に抗し、広範な戦線を構築する」取り組み

 ひがし労は結成から6年を迎えます。結成日の6月23日は、「沖縄慰霊の日」です。ひがし労の理念は、子どもたちを戦場に送らせない。尊い犠牲の上に築かれた憲法を守ることです。開会前に流した「月桃」は、ひがし労の反戦平和の歌として位置づけられています。
 本部は、戦争の歴史的事実を学ぶため、結成1年目から沖縄平和研修を開催してきました。幾度となく沖縄に赴き、「ひめゆり平和祈念資料館」や「沖縄平和資料館」を訪れ、戦争の実態を目の当たりにしてきました。「ひめゆり同窓会」からは、十代の少女が学徒動員によって青春を奪われ、米軍との地上戦が繰り広げられるなかでの看護活動や、友人の死を目の当たりにしてきたこと、解散命令後の集団自決など、戦争の悲惨さを訴え続けています。私たちは、痛ましい沖縄戦の実相に触れて、戦争という非人間的行為によって尊い命が奪われ、生き残った人々の心身を傷つけ、自然や文化をも破壊してきたことを実感してきました。研修に参加した組合員からは、「ひめゆり同窓会の方が話す映像を見て涙が止まらなかった」「捕虜になるより自決を選ぶ戦前教育が恐ろしい」「子どもたちを戦争に行かせないために反戦平和を広めていかなければならない」などの意見が出され、平和運動を推し進める決意を打ち固めてきました。戦争の歴史的事実を学び、一切の戦争とその政策に反対し、その戦線を広範に構築していかなければなりません。そのために、横断的労働組合を創造することが急務の課題です。
 しかし、私たちを取り巻く情勢は戦争への道に突き進んでいるといえます。ロシア・ウクライナ戦争は、街が焦土と化して夥しい数の死傷者と多くの避難民が生み出され、長期化の様相を呈しています。一方で、東アジアでは台湾と朝鮮半島を焦点として、日米韓と中国・北朝鮮との軍事的・政治的・経済的な角逐が熾烈化しています。
 そのようななかで、岸田政権は、アメリカと戦争をやれる国づくりに狂奔し、大軍拡に突き進んでいます。今国会では、防衛産業を支援強化する「防衛産業基盤強化法案」を成立させました。さらに、殺傷能力のある装備品の輸出を禁止してきた「防衛装備移転三原則」の運用指針改定を閣議で強行しようとしています。また、原子力開発の推進を大軍拡と一体のものとした「GX脱炭素電源法案」を成立させました。そして、衆議院本会議で「防衛費財源確保特措法案」を成立させ、防衛費増額の財源確保を目論んでいます。同時に、衆議院本会議において国民総監視・総管理体制を強化する「マイナンバーカード取得義務化法案」と、在留資格のない外国人を迫害する「入管難民法改正案」を可決しました。
 さらに、岸田首相は、衆参両院の憲法審査会における審議を進め、来年9月の自民党総裁任期中までに、「緊急事態条項」の新設と自民党改憲案の核心である憲法9条を破棄する憲法改正を策しています。また、莫大な防衛費を捻出するために、1兆円規模の増税を掲げ、「復興特別所得税」や決算剰余金を防衛費に流用し、「歳出改革」と称した社会保障の大幅削減を狙っています。国家が他国市場を獲得することが戦争の本質であり、犠牲になるのは弱い立場の女性や子ども、そして労働者です。
 ひがし労は、戦争の歴史的事実を体得し、反戦平和の戦線を広範に想像していきます。そして、岸田政権の推し進める大軍拡と改憲に立ち向かい、「平和・人権・環境・民主主義」を守り抜くためにも、統一地方選挙で培った組織力をバネに衆議院解散総選挙を闘いぬいていきます。

「産業・事業構造の大転換に立ち向かい、
『職場と仕事と生活』を守り、『安全と健康』を担保する」

 2022年9月29日、JR東日本運輸サービスの尾久事業所において、浅見雄次さんが業務中に急逝する痛ましい事象が発生しました。浅見さんは、定期健康診断で超高血圧と診断されていました。当日は、作業長として車両の点検をしている最中に、虚血性心不全を発症し、出区点検をしていた乗務員に発見されました。
 会社の問題点は、1つ目に、浅見さんが午後の業務開始から発見されるまで約5時間を有していることです。会社が安全配慮義務を果たしていれば、超高血圧の社員を1人作業に付かせなかったはずです。2つ目に、作業終了まで作業長と清掃作業員、当直との連絡が約5時間も無いことです。尾久事業所では、給水担当の移動禁止合図の取り付と撤去が単独で行われています。3つ目に、作業ダイヤ通りではなく、裏作業ダイヤだった可能性があります。会社が安全配慮義務を果たし、決められた作業ダイヤ通りの業務体制であれば浅見さんの命が助かったと言えます。浅見さんの死は、時間の限られた車両留置の中で、業務を少ない人数で効率的にこなしていくため、連絡体制を度外視してきたことにあります。
 しかし、浅見さんが亡くなったことを聞き病院に訪れた家族に対して、会社は「仕方がなかった」と言い放ったのです。失意と怒りの中でひがし労の相談フォームにメールを送信したのです。ご家族は「誰に相談すればいいか分からないなか、助けてくれたのがひがし労だけだった」「二度と同じような労働者や家族が現れないため、JETSに『安全配慮義務』を遵守することだけを求めている」と話されています。このことに対して、JETSはひがし労との団体交渉に応じることなく、労働委員会においても不誠実な対応を示しているのです。また、同じメールを受け取った東労組は返事すらしていないのです。
 一方、JR東日本会社は「JR東日本グループ年次計画2023~新しい時代へ「モードチェンジ」の年に~」を発表しました。そして、「体質強化」として新幹線をはじめとするドライバレス運転技術の推進や在来線のワンマン運転拡大、車両のCBM推進や仕業検査の有効期限見直し、設備のモニタリングやスリム化を図り、機械化・システム化を図ろうとしています。そして、「人材戦略」として業務の融合と連携を図り、柔軟な働き方と称した社員の『便利屋』を強化しようとしています。

 6月には、車両センター及び総合車両センターの業務を移管し、「首都圏」「東北」「新潟」の再編も行いました。全社規模の組織再編は、本社組織の再編や12支社のエリア区分と業務の集約化を図り、現業機関と企画部門の融合などによって、経営環境のスピーディーな意思決定を可能としています。そして、グループ全体の将来像策定や新規ビジネスの創出など、戦略的業務へと転換を図ろうとしています。
 また、「(営業)統括センター」発足に伴う駅業務や乗務員業務、企画業務の融合が図られています。これらは、徹底したコスト削減を図ると共に社員の「リスキリング」と「労働移動の円滑化」を通じて、「モビリティに関する事業」と「生活ソリューションにつながる事業」の5:5を早期に実現することを意味しています。そして、全ての昭和採用者が退職する来年度にも、人事賃金制度を改悪して、定期昇給や年功序列型賃金を廃止した「ジョブ型」賃金への改悪が予想されます。
このような会社の施策・組織再編の中で、高崎車両センターとぐんま車両センターの組合員が東京地本と一緒になり、「首都圏地本」を7月に結成することになります。
 安全配慮義務違反やJR東日本会社のモードチェンジの背景には、産業・事業構造の大転換があります。政府は、6月6日、成長戦略と位置付ける「新たらしい資本主義実現会議」の改定案を発表しました。改定案は、持続的な賃上げに向け「労働市場を改革」し、年功序列を前提とした雇用慣行からの転換を図り、成長産業への労働移動を促すといった内容です。このことは、政府や企業が「デジタルトランスフォーメーション(GX)」や「グリーントランスフォーメーション(DX)」を推進するために、日本の産業・事業構造を再編し、その一環として「三位一体の労働市場改革」と称した解雇や転職を促し、低賃金と劣悪な労働環境に貶めるものなのです。具体的には、一部の高度な技術を持った労働者を除き、デジタル化に伴う新たな専門技術・技能を労働者へ習得させようとしています。そして、仕事を人からAIやロボットへ置き換え、少子高齢化に伴う労働力不足を補うと共に、必要無いとみなされた労働者の大幅削減を意味しています。とりわけ、デジタル技術が「自己責任」で習得=「リスキリング」できない労働者へは、「円滑な労働移動」と称して解雇や転職を促進していくのです。さらには、賃金支払い形態である年功給と職能給を「職務給」へ、雇用形態を長期雇用から「ジョブ型雇用」へと改変して「日本型職務給」を推し進めようとしています。
連合は、「新しい資本主義実現会議」に芳野会長が参加し、岸田政権及び経団連などの諸企業とともに、「三位一体の労働市場改革」を推し進め、全面協力を誓っているのです。

 本部は、産業構造・事業構造に基づく「三位一体の構造的賃上げ」と『ジョブ型雇用』の導入に反対していきます。そして、「JR東日本グループ年次計画2023~新しい時代へ「モードチェンジ」の年に~」に抗して、「職場と仕事」「安全と健康」を担保していきます。また、厚生労働大臣宛ての「企業による労働者への『安全配慮義務』の厳格化を求める要望書」を通じて、会社の理不尽さを暴き会社を厳しく追及していきます。そして、JR東労組の反労働者性を満天下に暴き、解体していきます。

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